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高校生日記・02 [■旅行記]

鈍行を乗り継ぐ場合、特急、急行しか走らない深夜の時間帯をどうするかが問題になるが、

当時は、23:25に東京を出発し、翌朝の6:57に岐阜県大垣市に到着する

”345M”、通称「ガキ電」とか「ガキ鈍」、「大垣夜行」と呼ばれる有名な列車があった。
(現在の快速「ムーンライトながら」)

これに乗るためにわざわざ深夜の出発になったのだ。 

 

目当ての列車のホームに出てみると、既にたくさんの人が並んでいた。

列車が到着し、なんとか座ることが出来て一安心。

車内にはほろ酔い気分で帰宅するサラリーマンがいっぱい。

冷房がギンギンに効いていて、非常に寒かった。

荷物が心配でなかなか寝付けず。

ちょっと意識を失っては目を覚ますことの繰り返しだった。

ぼんやりと深夜の車窓を眺めれば、延々続く貨車の列。

 

     画像 007.png

 

こうして早朝の大垣駅に着いたオイラはその後、

7:15大垣発→10:17大阪発→12:57相生発→14:14岡山発→17:25広島発

と乗り継いで行った。

大垣発の車内で自宅から持って来た串団子の朝食。

大阪発の車内でこれまた自宅から持って来た乾パンと牛乳の昼食。

40分待ちの相生駅では、大編成の貨物列車が何度も通過するのを眺めた。

15分待ちの広島で水飲み場を探したが見つからず、仕方がないのでジュースを買った。

なんだかお腹が空いてきたので、ついでに立ち食いソバの夕食。 

カウンターにセルフの冷水機があるのを発見し、ショックを受けた。

 

やがて乗客がどんどん降りてゆき、少なくともオイラの視界の範囲では、

ボックスシートの背もたれが並ぶだけで人影は見えなくなった。

日が傾いて車内はオレンジ色に包まれた。

どこからか入ってくる心地よい風とセミの音。

20:01 小郡到着。

 

ここで 20:39発門司行きに乗った。

この赤色の列車で関門トンネルを潜るのだ。

トンネルを通過するのに一体何分かかるのだろうと楽しみで仕方がなかった。 

一大イベントを前に眠ってしまってはイカンと、

わざわざ缶コーヒーまで購入してしまうという気合の入れようだった。

この時乗った列車のボックスシートで親切なおじいさんと相席になった。

門司には22時に到着するが、深夜~早朝の時間帯は残念ながら鈍行は走らない。

駅周辺で夜を明かす度胸はないので、

本当は鈍行のみにしたかったが、門司から急行「かいもん」で鹿児島に行くつもりだった。

話の流れで相席になったおじいさんも「かいもん」に乗ることを知った。

おじいさんは、「今の時期は空いている筈だ」と教えてくれた。 

 

・・・。

肩を叩かれ、目を覚ます。

いつの間にか爆睡していたのだ。

列車は既に門司に着いていた。

関門トンネルを体験できなかったのは甚だ残念だったが、

そんなことより、この列車はここで終点ではなく、この先別方向に行ってしまうので、

おじいさんと知り合いになっていて本当に助かった。

おじいさんは用事があるらしく、「先に乗っててくれ」と言い残し、どこかへ行ってしまった。

発車ギリギリまでホームで待っていたが、結局おじいさんを見たのはこの時が最後だった。

 

車内はガラガラで、イスに横になり寝ることができた。

車内は、丸一日乗り継いだ鈍行とは比較にならない豪華さで、

「世の中結局金次第」という現実を思い知らされるのだった。

機関車に引かれる列車に乗るのは初めてで、

前方の車両から順に、「ガチャガチャガチャ!」と連結器が鳴って軽い衝撃があり、

それから滑るように動き出す発車が新鮮だった。

 

こうして、鈍行を乗り継いでまだ見知らぬ土地を走り続けるという、

鉄道に熱を上げて以来の夢を実現させることが出来たわけだが、 

では楽しかったかと言うと、その実オイラは大きな失望感を味わっていた。

オイラは鉄道雑誌で非常に魅力的に描かれている列車の旅に憧れていた。

服来たネズミが仲間たちと一緒に歌ったり踊ったりする某テーマパークのように、

自分からは何もしなくても、ただ鈍行に乗ってさえいれば、

面白おかしいことがオイラの目の前にも次々現れるに違いないと勘違いしていたのだ。 

当時のオイラは、無為に時を過ごすことに楽しみを感じられるほど余裕はなかった。

 

鉄道に乗り続けることをつまらないと感じてしまった理由はもう1つある。

他人との接触だ。

今でもさして変わらないが、当時のオイラは羞恥心が服を着て動いているような人間だった。

知らない人が怖くてたまらなかったし、自分の近くで笑っている人がいると、

自分のことを笑っているのではないかとビクビクしていた。

要するに、群衆の中にいると著しく消耗してしまうのだ。 

列車に乗るということは、群集の中に身を置くことだから、

そんな状況が延々続くことにホトホト懲りてしまった。

特に駄目なのが、座席の形状だった。

人の視線が気になって気になって仕方がないオイラにとって、

ボックスシートで他人と長時間「向かい合わせ」になるというのは拷問だった。

いつ果てるとも知れぬ心理戦が苦痛で苦痛で仕方なかった。 

そんななので、旅行した当時の日記にこんなことが書いてある。

 

「途中からずうずうしいお姉さんが3人乗ってきて、他にも空いている席があるのに、僕の座っている4人用のボックスに座って来た。僕の隣に座っていた人がどんどんこっちにせめて来るので、窮屈で仕方がなかった」

 

普通の男子高校生にとってこういうシチュエーションは、

(ヽ( ゚∀゚)ノうひょー! ラッキー!)なのかもしれないが、

これはオイラにとっては苦痛でしかない状況で、膝の上に荷物を載せてその上に突っ伏し、

ひたすら時が過ぎてお姉さんたちがいなくなるのを待っていたのだった。 

 

そしてこの旅行を境にして、あれだけ夢中になっていた鉄道熱はすっかり冷めてしまい、

趣味として行っていたことをすべて止めてしまった。

皮肉なものである。

 

(続く)


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コメント 26

tooshiba

アニキ通り越して、「心の師匠」と呼ばせてください。

列車自体は淡々と走る(走らせる)のが仕事ですからね。
出会いは、自分から求めないとイベントは発生しないのでしょうね。
ゲームのフラグのように。

>「途中からずうずうしいお姉さんが3人乗ってきて、他にも空いている席があるのに、僕の座っている4人用のボックスに座って来た。僕の隣に座っていた人がどんどんこっちにせめて来るので、窮屈で仕方がなかった」

ああ、その気持ち、分かります!
おねいさんたちが“こいつは男”と意識してくれていなくても、偶然に周りを取り囲まれようものなら、居心地の悪さを通り越して被害妄想でモンモンです。

いい歳をして、未だにカイゼンされていません。
by tooshiba (2008-05-26 08:55) 

hiro78

面白いですね~
私も鉄道ファンクラブに入るほど夢中になっていた時期がありました(笑
次が楽しみです!
by hiro78 (2008-05-26 15:55) 

mon

こんにちは
続きはどうなるのかな?~(ノ^∇^)/

by mon (2008-05-26 16:14) 

コスト

 僕も大学の頃に18切符で鈍行列車で旅行しましたが、1日でこんなにも乗れなかったですね。疲れてしまうんで。
>関門トンネル 瀬戸大橋と違ってすぐ終わりますよね。でも初めて行った時はドキドキしました。

>お姉さんが3人 
 わかりますよー。僕は夜行で四国から京都へムーンライトで乗ったんですが、指定席で横がお姉さんで、当時はシャイボーイだったんで口も利かないし、おなら出すと気まずいんでデッキまで行ってしてたりで、かなり苦痛だった記憶があります。今なら話すの楽なんですが、当時はきつかったです^^;
by コスト (2008-05-26 17:28) 

masa

鉄道の旅もとりさんが書くと面白いですね!
お姉さんが座ってきたことは、おいらならラッキー
と思ってしまいます・・・
by masa (2008-05-26 18:34) 

ジョルノ飛曹長

鈍行電車を乗り継いで行くところはまさに当時の航空隊搭乗員のようです。
いいですねー。(^_^)ロマンですよー。
by ジョルノ飛曹長 (2008-05-26 19:32) 

Krause

楽しく読ませていただきました。
by Krause (2008-05-26 19:38) 

miffy

鈍行列車を乗り継いでの旅、大変でしたね~
関門トンネルは歩いて渡ると海底トンネルを通ってるな~って気がしますが、電車だとあっという間ですね。


by miffy (2008-05-26 21:00) 

OILMAN

こんにちは。
私の場合は乗っているだけというのが大好きなので、今でも鉄道大好きなのですけど。
今となっては自由な時間も少なくなり、乗っているだけということも貴重なイベントになっています。
もう一回、はやぶさに乗らないと!

by OILMAN (2008-05-26 21:36) 

とり

皆様 コメント、nice! ありがとうございます。

■tooshibaさん
オイラただのへタレですから。ヘンな事言うのやめてくださいよ~^^;
>被害妄想
あー。tooshibaさんもそうですか・・・。

■赤と青さん
nice! ありがとうございます。

■xml_xslさん
nice! ありがとうございます。

■ラナさん
nice! ありがとうございます。

■hiro78さん
おお、鉄道ファンクラブですか!
もしかして、ブルートレインブームの頃だったり・・・^^

■monさん こんにちは。
続きはですね、今書いてます。
水曜日にアップしますので。

■コストさん
確かに1日乗り続けるものじゃないですね^^;
関門トンネルはあっという間なんですね。
コストさん、シャイボーイだったんですか。
分かるような分からないような・・・^^
でもまあ確かに、考えてみれば高校生がおねーさん3人に囲まれて、嬉々としてしゃべり出すって方が普通は珍しいですかね。

■masaさん
>おいらならラッキー
・・・と思ったらプレイボーイキタコレ!
masaさんのツメの垢、着払いで結構ですんで送ってください^^;

■ジョルノ飛曹長殿
仰るとおりですね。
苦労するからこそこれだけ書けることがあるわけですね^^

■Krauseさん
どうもありがとうございます^^

■miffyさん
関門トンネル情報ありがとうございます。
歩いて渡れるんですか!(@Д@)

■OILMANさん こんにちは。
>乗っているだけというのが大好き
そう、オイラにはそれが欠けてました。
>もう一回
前回はせっかくの機会だったのに、本当に勿体無かったですよね~。
是非雪辱を!
by とり (2008-05-26 21:51) 

Tripleseven

とりさんの場合、鉄道熱の方はヒコーキと違い想像から入っちゃったんですね。
自分のイメージと実際が違っていたから、冷めてしまったんでしょうか?
ただ、おじいさんとの出会いは良い思い出として残ったんじゃないかなと思いますが…
そういう意味ではその鈍行の旅も捨てたものではなかったんじゃないでしょう。
3人の姉さんがどんな感じだったのかあまり想像がつかなかったのですが、
ただ、煩かったのか、それともお菓子を差し出しながら「どこへ行くのかな?これひとつどう?」などと言ってくれたのか?
もし、前者なら私も逃げるでしょうね。
後者ならおそらく私はそのまま甘えてペースに嵌ったでしょう。
でも、それならいい思い出になりますからね。

by Tripleseven (2008-05-26 23:31) 

an-kazu

もう少しノートが見たいなぁ(^_^;)

初めて寝台特急に乗ったとき、興奮と連結器のショックで眠れなかったことを思い出しましたよ。
by an-kazu (2008-05-27 00:25) 

Qoo

凄い旅をしたんですね~
気ままで楽しいかも(^^)
Boxシート、あれは確かに窮屈ですね
他人と長い時間過ごすのは苦痛かも、僕も苦手です
次号も期待してます(^_^)V
by Qoo (2008-05-27 07:05) 

とり

■Triplesevenさん
>イメージと実際が違っていたから
仰るとおりです。
3人のお姉さんはですね、文字通り姦しかったです。
おじいさんとの車内は楽しかったですよ。
今となってはすべてひっくるめて良き思い出ですが、
当時のオイラにとっては、トータルで×でした。
今同じ旅行をしたら、当時とはまた違うと思います。

■an-kazuさん
そんな見ても面白いものじゃないですって!^^
あの先に早速お見せ出来ない部分があるんですよ。ご容赦の程を。
an-kazuさん、寝台特急乗ったのですね。
ワクワク感、分かる気がします。

■セバスちゃんさん
nice! ありがとうございます。

■Qooさん
確かに気ままですね^^
列車の旅の不平を長々書いちゃってすみません。
当時のオイラにとっては、ということですので^^;
by とり (2008-05-27 07:19) 

sak

鈍行乗継...
なんだか憧れます(^^
向かい合わせの席で延々知らない人と...
私も少し苦手かも
by sak (2008-05-27 11:27) 

おろ・おろし

私も、学生のころ、帰省で少しでも旅費を、ケチろうと何度か
乗った記憶があります。
ある時は、静岡あたりで、つま恋コンサートの時期に重なったことも
あったような・・・おぼろげな記憶です。

その当時、とにかく旅費をどうすれば倹約できるかを考え、
大阪までの夜行バス(ドリーム号)を使ったり、
ある時期あった川崎→神戸間のフェリーを使ったり、
飛行機のスカイメイトを使って、現在の岡南飛行場にYS-11で
帰ったり、、、。

>途中からずうずうしいお姉さんが・・・
やはり3対1では、引きますね。

ただ旅の楽しみの一つは、偶然知り合った人と、会話が出来ること
も世界が広がるきっかけだったと思います。

続編が楽しみです!!
by おろ・おろし (2008-05-27 18:45) 

カンクリ

偶然にも本日アップした私の記事が新幹線と鈍行との違いはありますが、車内でのお話という共通点がありますね。(笑)
私は学生の頃、常磐線に揺られて片道1時間40分の「旅」を毎日繰り返してました。行きはまだしも帰りは拷問のように感じる時もありました。(^^; だからあまり鈍行での長時間乗車は好きじゃないのかも知れません。
by カンクリ (2008-05-27 22:59) 

とり

■sakさん
どんな人と向かい合わせになるかが大きいですね^^

■おろ・おろしさん
学生時代はやまれぬ事情で不便を強いられることが多い訳ですが、貴重な経験ですよね。自由になるお金が増えると、あえてやろうとは思わないこともありますから。
>岡南飛行場にYS-11で
これは羨ましいです。
>偶然知り合った人と、会話が出来ること
そう思います。それができると旅の楽しみがずっと深まりますよね。

■カンクリさん
チラ見しましたが、確かに共通してますね^^
毎日1時間40分はすごいですね!(@Д@)
by とり (2008-05-28 06:29) 

hiro78

惜しい!!
ブームと言われた頃の少し前、70年代後半です(笑
by hiro78 (2008-05-28 09:53) 

とり

hiro78さん
おお、そうでしたか。
結構以前のことだったんですね~。
by とり (2008-05-28 20:29) 

とり

■いっぷくさん
nice! ありがとうございます。

■ハイマンさん
nice! ありがとうございます。

■こいしさん
nice! ありがとうございます。
by とり (2008-05-29 19:22) 

pica

あ、またスヌーピーのノート!
話もノートも nice!
by pica (2008-05-31 02:32) 

とり

■picaさん
ありがとうございます。
ノートの1P目を載せてみました^^
by とり (2008-05-31 09:15) 

くず

他人との接触…
昔の自分がダブって見えます f^_^;
今は随分とマシになりましたが、やっぱ苦手です。
いい歳なのにバイク乗り続けていたり、独り旅が好きなのは、根本は変わって無いって事なのかな (^_^;)
by くず (2008-06-01 20:04) 

とり

■ひろ茶さん
nice! ありがとうございます。

■くずさん
そうですか。やっぱしくずさんも^^;
いい歳でバイクで一人旅というのは、オイラからしたらすごくカッコイイことなんですがね。
単独行動が苦手という人もいますから、ないものねだりなんでしょうか。
集団行動、単独行動、どちらもオッケーというのが理想ですね。

■アスランマリオさん
nice! ありがとうございます。
by とり (2008-06-02 06:57) 

とり

さちこさん
nice! ありがとうございます。
by とり (2008-06-04 06:17) 

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