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787初飛行延期 [├雑談]

当ブログ787関連の最後の記事→で、787試験飛行1号機(ZA001)中間ガントレットテスト終了したと書きました。

その後も公式ニュースリリースでは787関連記事がいくつか続いていて、

6月15日 試験飛行2号機(ZA002)フライトラインに移動、燃料テストを開始

6月16日 パリ航空ショーにて「787開発は順調。第2四半期中にファーストフライトを実施する」と発表

6月17日 ANA向け量産初号機(ZA007)最終組立開始

と、連日787関連記事が続きました。

 

いつ初飛行をするのか、正式な発表はなかったのですが、

ネット上では、23日、28日、翌7月1日あたりが噂されてました。

中には、「パリ航空ショー期間中に飛ぶ!」とか、

「ボーイングは○日を初飛行日に設定している」とか、

「ボーイングは、社員の家族が見学できるよう、伝統的に週末に初飛行を実施している」

などともっともらしい意見がいろいろ出てました。

すっかりイケイケムードだったのですが・・・

 

6月23日 ボーイング、787ドリームライナーのファーストフライト延期を発表。

静止テストにおいて、「主翼と胴体の結合部分の補強が必要」と判明したのだそうです。


 

問題となった「静止テスト」のことを書いてみます。

 

ヒコーキに加わることが予想される最大の荷重を「制限荷重」といい、

これに安全率を乗じたものを「終極荷重」といいます。

ハイ! この2つ試験に出ますよ!

安全率は通常150%(制限荷重x1.5)なのだそうで、ここではこの数字で話を進めます。

静止テストではまず機体に「制限荷重」を加えます。

どんどん荷重を加えていくと、例えば主翼などみるみるしなっていくのですが、これで壊れないのは当然として、

荷重を取り除くとしなりが戻り、機体に変形が残っていてはならないことになっています。

その後さらに「終極荷重」を加えますが、これに3秒間耐えられねばなりません。

厳密には他にも試験項目はいろいろあるのですが、こうした一連のテストに耐え抜くと、

晴れて「丈夫な機体」と見なされます。

 

やっかいなのはここからで、ヒコーキは重力に打ち勝って飛ばなければならないため、

「丈夫」と同時に「軽い」ことが厳しく求められます。

丈夫が過ぎると、それは即「余分な重さ」と見なされてしまいます。

乗ったが最後、命を預けるしかない一乗客としては、「丈夫なら多少重くてもいいじゃん」

と思ってしまいますが、

ヒコーキの生涯中、通常加わるであろう考え得る限りの最大値である「制限荷重」も、それに乗じる「安全率」も、

世界の航空機史上の貴重な経験を元にした数字であり、

そこには既に十分過ぎるほどの余裕を見越しています。

それ以上は余計な重さ以外の何物でもないという考え方です。

 

ということで、丈夫であることを証明したならば、次に軽いことも証明しなければなりません。

具体的には、どのくらい力を加えると壊れるか、実際に壊れるまで荷重を加えます。

必要以上の丈夫さ=無駄な重さ ですから、

制限荷重の150%までは破壊せずに持ちこたえ、151%になった途端に壊れることが理想。

試験の最中は、荷重が加えられるごとにギシギシとしなっていく機体を、

「壊れないでくれ、もってくれ~」と祈るように見守っていた技術者が、

150%を境に豹変し、「すぐ壊れろ、今壊れろ~」と身も細る思いで念じるのだとか。

こんな調子なので、これだけいろいろ発達した現在でも設計は非常に難しいのだそうです。

もっとも新開発機の場合、後の派生型(胴体延長とか)を見越して、強度を余分に見積もることもあるのだとか。

 

こんな、強度限界のギリギリの点を狙うような設計が要求されますから、

今回の787の場合のように、純粋に構造の強度だけでなく、

「想定を上回る負荷」というものまで加わってしまうと、たちまちそこが問題点として浮かび上がるんでしょうね。

公式サイト情報ではありませんが、A380も主翼部分が147%で壊れてしまい、補強で対応したのだそうです。

 

ボーイング側によりますと、「すぐにでも初飛行をすることは可能だが、試験飛行全体を考えると延期が最善」

という判断のようで、「補強は簡単にでき、重量増加も問題ない」としています。

またこの補強作業は試験機、量産機すべてに実施。

新たなスケジュールの発表は数週間後に予定しているそうです。

 

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