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A380の翼面荷重 [├雑談]

A380が日本に飛来しましたね。

以前立て続けに間違い文を載せてしまい、お蔵入りにしていたA380関連の記事があるのですが、時事ネタということでアップしてみました。

 

今年の夏頃に出させていただいた一連のヒコーキクイズの中で、

「二乗三乗の法則」ネタを書きました。

「物体の大きさが変化すると、表面積は二乗、重さは三乗に比例して変化する」

というもので、例えばヒコーキの大きさが2倍になると、翼面積が4倍、重量は8倍になる、ということでした。

B737とA380の大きさと重さを比較してみました。

 

                全長      自重    最大離陸重量 
B737-600  31.2m    36.4t     65.1t    
A380-800  70.8m    267.0t    540.0t    

全長で比較すると、A380はB737の約2.27倍なのに対し、自重は約7.34倍です。

「二乗三乗の法則」でまともにいけばもう少し重くなるはずですが、そこはメーカーの努力の結晶ということでしょう。

さて。大きさが変化すると、重さが三乗倍で増えていくのに対し、翼面積は二乗倍でしか増えません。

ですから小さなヒコーキを単純にスケールアップしたのでは翼面積が足りず、揚力不足で飛べない、ということになってしまいます。

ではどうするかといいますと・・・

胴体を大きくする以上に主翼を大きくすればよいことになります。

 

 

上の図はB737とA380の全長をそろえてみたものです。

B737と比べてA380の胴体が細く、逆に翼が太くなっているのが見た目ではっきりわかるのではないでしょうか。

具体的に数字を出してみますと、単純に全長での比較ですが、

A380の全長はB737の約2.27倍なので、単純にスケールアップするならば、翼面積は2.27の二乗で5.15倍になるのですが、

実際の翼面積は対737比でなんと9.29倍にもなっており、全長と比べて主翼をかなり大きくしています。

ちなみに最大離陸重量は約8.29倍で、翼面積の倍率とかなり似通っています。

こうやって「二乗三乗の法則」の帳尻あわせをしているわけですね。


 

以上が前回までのおさらいで、ここからが本題です。

 ヒコーキ好きな方ならご存知の「翼面荷重」という便利な言葉があります。

「翼面荷重」を言葉で説明しようといろいろ考えたのですが、うまくいきません。

オイラがきちんと理解していないからですね。

式としましては、全備重量÷翼面積=翼面荷重 という感じです。

ネットでいろいろ調べたのですが良い説明が見つからなかったので、一応、

「主翼が単位面積あたり、どのくらいの荷重を受け持っているか」という風なことにしておきます。

もっと良い説明の仕方を是非教えて欲しいです。

以下にいろいろな旅客機の翼面荷重を並べてみます。

 

                 翼面積  最大離陸重量  翼面荷重     
    B737-400      91㎡      63t      690㎏/㎡
    A310          219㎡    150t      685㎏/㎡    
    MD-11       399㎡    273t      684㎏/㎡ 
    B777-300    428㎡     298t      695㎏/㎡   
    B747-400    511㎡     395t      772㎏/㎡
    A380-800    845㎡     560t      662㎏/㎡   

表は、下に行くほど重いヒコーキです。

「翼面荷重が772㎏/㎡」とは、「主翼1㎡あたり772㎏の揚力を発生させている」ということです。

最も軽いB737からA380まで、翼面積、重量共に約9倍のひらきがあります。

にもかかわらず、翼面荷重は662~772㎏/㎡の間に収まっており、その差は16.6%しかありません。

ヒコーキの大きさが変わっても、翼面荷重はほぼ同じなのが分かります。

「翼面荷重の大きいヒコーキ」とか「翼面荷重の小さいヒコーキ」とか書くと、なんだか難しげですが、簡単に言えば、

「翼面荷重の大きいヒコーキ」とは、「(重さのわりに)主翼の小さなヒコーキ」ということになります。

主翼が小さくて済むということは、抵抗を減らすことができ、軽くなりますから、その分余計に人や荷物を積むことができます。 

しかし、小さな主翼でたくさんの揚力を発生させないといけませんから、その分スピードが早くなければ飛べません。

「翼面荷重が小さいヒコーキ」の場合はその逆ですね。

翼面荷重を大きくするにしろ、小さくするにしろ、メリット、デメリットがありますので、いろいろ試みて、今の数字に落ち着いているのだと思います。

 

ところで、上の表の中ではジャンボの翼面荷重が他のヒコーキと比べて突出して大きくなっています。これはよく次のように説明されます。

「ヒコーキは大きくなればなるほど重量がかさんでしまう。翼についてもそれは同様である。だからジャンボの場合、できるだけ翼の面積を切り詰めて翼面加重を大きくせざるを得ず、離着陸時等の低速時は高揚力装置により翼面積の少なさを補っている」。

確かにその通りで、ジャンボはデビュー当時の他の旅客機と比較して翼面荷重の大きいヒコーキでした。

例えば、B707の翼面荷重は534㎏/㎡、DC-8は、584㎏/㎡です。

オイラ的にはなんとなく主翼の小さいイメージのあるB727でも596㎏/㎡、

カラベルに至っては、397㎏/㎡です。

一方、ジャンボの初期型の翼面加重は、630㎏/㎡です。

如何にジャンボが翼面積を切り詰めているかが分かります。

 

しかし、ジャンボの初期型の翼面加重を現代の旅客機の翼面荷重と比較してみると、上に並べたヒコーキの中では最も小さな値となります。

限られたサンプルですが、時代と共に翼面荷重が大きくなっていってますね。

 

そういう目で上の表の翼面荷重を見てみると、最小値はA380-800です。

世界最大の旅客機ですが、必要とあらば翼はこのままで更に大型化するポテンシャルを持っていることになります。翼面荷重に限っての話ですが。

今までと異なるタイプのヒコーキを作るとき、極力同じ胴体、同じ主翼を使うという点でエアバスは徹底しています。

エアバスはA380の更なる大型化を念頭に、初期型の翼面荷重を意図的に低く設定しているのではないでしょうか。

例えば、今より一気に95t 重くなり、最大離陸重量が655t になっても、現在のジャンボと同等程度の翼面荷重です。

今でさえ、「オールエコノミークラスなら、800席」と謳っていますが、

95t の重量増なら、1,000席超のヒコーキになるはずです。

A380のストレッチ型が出るかどうかは今後の市場にかかっているわけですが、どうなるのでしょう。

逆に、ストレッチさせることを考えずに、今の離陸重量を上限と考えるならば、もっと小さくて軽い主翼で済んだはずです。

オイラにはエアバスが、

「ホラホラ~ 我が社もこーんなに大きなヒコーキが作れますよ~。

しかもコレ、もっと大きくすることも簡単なんです。

もっと大きなヒコーキ、シルブプレ~」

と宣伝するための662㎏/㎡に思えてなりません。

 

以上、エアバス機に負けてちょっと悔しいボーイング党の妄想にお付き合いいただきまして、まことにありがとうございました。


 

この記事に2つトラック・バックを頂いたのですが、

■アスランマリオさんの「空飛ぶHOTEL」→着陸

■おすぷれい26さんの「エアバスA380が来た」→離陸

それぞれのシーンが拝めますよ


コメント(11)  トラックバック(2) 

コメント 11

ハイマン

翼面荷重 初めて聞きましたが、わかりやすい説明ですよ
トレンド値は680~700くらいですね。
こういうトレンド値って大幅に外すとどこかネガがでるんでしょうね。
by ハイマン (2006-11-22 21:49) 

マリオ・デ・ニ−ロ

先日A380に実機を見たとき主翼の付け根のボリュ-ムがやけに多いなと思ったのには、こんな理由があったんですね。
お勉強になりました。ありがとうございました。
by マリオ・デ・ニ−ロ (2006-11-22 23:53) 

ジョルノ飛曹長

翼面荷重は大戦機好きな人間にとってとても重要なキーワードですね(^_^)
スピードをとるか、旋回性能を良くして空戦性能を上げるか・・・
翼面荷重をどう設定するか。このへんのせめぎ合いが大戦機は面白いです。
by ジョルノ飛曹長 (2006-11-23 00:18) 

しまふくろう

飛行機の荷重・強度については、ほぼ行き着くところまで
いっているんでしょうね~
A380にも沢山つかわれいる複合材の更なる研究開発
や燃費がよくて強力なエンジンが増えてきたりとコスト
削減が大きなテーマみたいです。
しまふくろうにはA380は中国でしか活躍できないよう
に思えてなりません…
by しまふくろう (2006-11-23 09:15) 

アスキ

う~~ん、よくわからない。僕にはまだ分からないのかなぁ~?う~ん、でもなんとなく分かったような・・・、次の記事も楽しみにしています。
by アスキ (2006-11-23 12:44) 

まさ

こんにちは^^
ナルホド・・・ジャンボのように長い滑走路を必要としないってのは、そういうことだったんですね。
では、どっかの女性党首さんが仰ってた「空母に艦載された超大型戦略爆撃機の離発着」・・・あれはあながちウソではないと、そのように解釈してもよろしいですか?^^
by まさ (2006-11-23 14:11) 

とり

■ハイマンさん
わかりやすいと言って頂けて嬉しいです。
>どこかネガがでる
仰るとおりで、飛行性能もさることながら旅客機の場合、世界中に現存する空港インフラがちゃんと使えるようでないと、航空会社に買ってもらえないというしばりもあります。
コメント&nice! ありがとうございました。

■アスランマリオさん
そうそう!A380の主翼の付根の太さって圧巻ですよね。なんかガルウイングっぽいし。
コメント&nice! ありがとうございました。

■ジョルノ飛曹長殿
戦闘機の場合、翼面荷重といえばソレですよね~。
コメント&nice! ありがとうございました。

■しまふくろうさん
>コスト削減
確かに航空黎明期のように、ちょっとの工夫で性能がいきなり倍に!なんて望めないですからね。
A380は中国でしか活躍できないと予想ですか!うーむ、どうなるのでしょう・・・。
コメント&nice! ありがとうございました。

■アスキさん
今12才ですよね?今の年齢で「なんとなく分かったような」と言えれば上出来ですよ。今回の記事は数学、物理が入ってますから。これからもっと難しいこともどんどん分かるようになりますよ。
コメント ありがとうございました。

■まささん
オイラよく知らないんですが、なんか、「空母からB-52が次々と・・・」とかいうヤツですよね?それは流石に無理でしょうが、翼のうんと大きな機体を作れば離陸速度を落とせますから、理論的には可能だと思います。理論的には。
コメント&nice! ありがとうございました。
by とり (2006-11-23 20:42) 

basashi

A380はズングリしているってイメージがあるのですが、上から見ると意外と
スマートなんですね。^^;
by basashi (2006-11-24 12:53) 

とり

basashiさん
オイラも同じこと考えました。
想像なのですが、A380を撮る方は、意識的、無意識は別として、「世界最大」に見えるアングルを探しているのではないでしょうか。
三面図の上から見たものは、絵的には面白くないですよね。でも、ヒコーキにこめられた設計者の意図が最も分かるのがこの俯瞰図だと思います。
コメント&nice! ありがとうございました。
by とり (2006-11-24 21:26) 

とり

おすぷれい26さん
TBありがとうございました。
by とり (2006-11-24 21:29) 

とり

アスランマリオさん
TBありがとうございました。
by とり (2006-11-25 06:26) 

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