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飛行機の燃費節約 [├雑談]

原油高騰で車のガス代が高いです。

1リッター当たりの値段が2ケタだった頃が夢のよおです。(遠い目

安かりし頃は満タンで3,000円台だったガス代が、今じゃ一気に5,000円台・・・(涙

さて、原油高騰で困っているのは航空業界も同じです。

ネットで調べてみると、あの手この手で燃料節約をしています。以下、ずらずらと挙げてみたいと思います。

 

アイドリングストップ

駐機中に補助エンジンを止めたり、着陸後、滑走路からエプロンに移動する際エンジンを1つ止める。

 

軽くする

機内に余分なものを積まない、要らないものを降ろす、軽いものに替える。大掛かりな軽量化だと、機体にペイントしない、もしくは一部にしかしないとか。

 

さて、アイドリングストップと軽くするというやり方を見て、「なんだー、車と一緒だなー」と思われたのではないでしょうか。他にも飛行機ならではの燃費節約法があります。

 

燃料をできるだけ積まない

もちろんガス欠なんてことになると大変ですから、十分な余裕を見越しておくのは大前提なのですが、飛行機は重くなると燃費が非常に悪くなるので、できるだけ燃料を積まないというのは燃費を良くする有効な方法の1つです。

飛行機にどれだけの量の燃料を積むか、どのように決めるのかといいますと、事前にコンピューターが計算した燃料搭載量が飛行計画書に打ち出してあり、機長がその数字をチェックして、必要に応じて追加することができるようになっています。その飛行計画書には、その日のジェット燃料の価格が書かれており、「できるだけ無駄な燃料は使わないように」と無言のプレッシャーをかけているのだそうです。

また、詳しく書くと長くなってしまうのですが、飛行機は目的地に行くために必要な燃料以外に、様々なアクシデントに備えて余分の燃料を積んでいます。例えば、着陸のやり直しをしたり、目的地の空港の天気が悪化した場合しばらく上空で旋回待機したり、別の空港に行くための余分の燃料を積み、更に「もしものための」燃料を積まねばならないと決められています。

そういう十分な余裕を見越してますから、長距離便の場合、結果的に20t近い燃料が残ってしまったりします。20tと言えば人に直すと300人以上ですよ? それで誰かがスゴイテクを考えました。本当はA空港まで行きたいのに、わざと少し手前のB空港に行くようにフライトプランを作成し、B空港までの燃料を積む、というやり方です。前述の通りいろいろな名目で余分の燃料を積んでますから、B空港に近づいたところで本来の行き先であるA空港に十分行けるだけの燃料が残っている可能性が非常に高いわけです(もちろん上に書いたような予備も含めて)。そして「A空港まで余裕で行ける!」と判断されれば、行き先をA空港に変更する、というやり方です。・・・よく考えますね。こういうやり方を「リクリアランス方式」と言います。

しかしこの方法はいつもうまくいくとは限りません。時々予想外の向かい風のせいで本当に手前のB空港に降りてしまったりすることもあります。例えば、アメリカ発成田直行便のはずなのに、なぜか北海道の新千歳で一旦降りてしまったとしたら、多分コレです。そんな時ポツリと「リクリアランスに失敗か・・・」などとつぶやけば、あなたはどこからみても立派な航空マ○アです。それによって人間関係がどう変化しても責任はもてませんが。この場合、トータルの消費燃料は当然多くなってしまいます。でも乗客にその分が請求されるということはもちろんありません。

 

車輪をギリギリまで出さない

というのもあります。飛行機は空港に近づくと車輪を下ろすわけですが、翼の近くに座った方は、「ゴトゴト」というけっこう大きな音と振動で「何事か!」とびっくりした経験があるかもしれません。またこの時、まるでブレーキでも踏んだかのようにグッと前のめりになるのを感じたことがあるかもしれません。飛行機の車輪は大きく、凸凹しているため、空気抵抗がものすごくかかります。これも燃費を非常に悪くします。

滑走路のはるか手前で車輪を出すとそれだけ燃料を余分に消費してしまうので、無駄に長い間出したまま飛び続けるのはやめよう、ということをはっきり打ち出している航空会社もあるようです。「そんなことをして、車輪を出すのをうっかり忘れたりしないの?」と心配になりませんか? 人間は必ずミスをするので、要所々々でチェック・リストの読み上げを行い、見落としがないか確認するようになっています。着陸前のチェック・リストには、「ちゃんと車輪を出しているか」確認する項目もありますから、まあ普通は大丈夫です。

余談になりますが以前成田空港で、某海外エアラインの飛行機が着陸しようとしているのを双眼鏡で見ていた管制官が車輪が出ていないのに気づき、「○○航空○○便、車輪は出ていますか?」と問いかけ、その機は急遽着陸を中断、上昇して事なきを得たということがあったそうです。

このように、もし万が一パイロットがうっかりしてしまったとしても、管制塔でも双眼鏡で「ちゃんと車輪が出てるかな」と確認してますから、車輪を出すのを後回しにしていて、ついうっかり忘れてそのまま滑走路に・・・ということはないはずです。

 

フラップの下げ方に気を遣う

これも車輪と同じ理屈で省エネ運転になります。座席に着いた時、せっかく窓側の座席だったのに、ちょうど主翼の付近の席で、ほとんど主翼しか見えなかったという経験はありませんか?こんな時の反応としては、

普通の人→「あーあ、羽にジャマされて景色がよく見えないよ↓↓」
マ○アの人→「うひょー! 動翼の動きがバッチリ見えて最高だぜー↑↑」(例外あり)

・・・というそれぞれの反応の仕方はともかくとして、離着陸の際、主翼の前側が折れ曲がったり、後ろ側がニョロニョロと伸びたりします。あれがフラップなのですが、ああすることで速度が落ちても安定して飛ぶことができるようになっています。

車輪は、出すか、引っ込めるかの2つだけで、ステーキの焼き加減のように「やや出す」とか、「強めに出す」とかはないのですが、フラップはパイロットの任意の角度に設定することができます。離陸の時より、着陸の時の方が、大抵フラップはニョロニョロと下がっているはずです。

このフラップは、車輪と同様ものすごく空気抵抗がかかります。つまり燃費が非常に悪くなります。着陸時にエンジン音によく注意していると、車輪を出したり、フラップを下げたりした時に、エンジン音がさっきまでより甲高くなることに気が付くことがあります。それだけこの2つはブレーキになっているわけです。しかも下げれば下げるほど燃費は悪くなります。メーカーが「各段階でフラップはこれくらい下げるとよろしい」と決めたりしているのですが、航空会社もパイロットも独自のポリシーで、メーカー推奨の角度を多少変更することがあるようです。それでフラップの場合、後述しますが下げるタイミングと共に、「どれくらい下げるか」を工夫することで、燃費を良くする余地が生まれます。安全最優先が大前提ですが。

 

車輪を出し、フラップを下げ着陸進入中

 

適切な高度で飛ぶ

国内線のごく短い路線の場合、離陸後に上昇を続け、ほんの10分ほどの短い時間だけ水平飛行をしてすぐに降下を開始することがあります。自転車とかマラソンでの上り坂のことを思い浮かべると、「距離が短いならそんなに上昇を続けずにできるだけ水平飛行の時間を長くし方がいいのに」と思いますよね。ところが飛行機は速度が非常に早いため、空気抵抗のかかり方が車とは桁違いです。高度が上がるほど空気が薄くなるため、空気抵抗が減って燃費が向上します。それでたとえ短い時間しか水平飛行ができなくても、できるだけ高度を上げた方が消費燃料は少なくて済みます。程度にもよりますが。それでパイロットは、風向きなども考慮して適切な高度をリクエストします。

 

スピードブレーキを使わない

ジャンボが高度10km(通常の高度は大体こんなもの)でガス欠のために突然エンジンが全部止まってしまったとしたら、どうなるでしょう? 舵を動かすことができることが前提ですが、もちろんすぐに墜落したりはしません。そのままグライダーのように100~140km先までは飛び続けることができます。ので、それまでに空港があれば、無事に降りることも可能です。(B767で実例あり)

例えば富士山上空高度10kmでエンジンがストップしても、理屈の上ではそのまま羽田に着陸することができます(横風、向かい風があるとアウト)。高度を利用してコレだけ飛ぶことができるわけですから、目的の空港に近づいたら、ちょうどイイ地点でエンジンをアイドルに絞り、そのままスーッと着陸できれば理想的です。もし仮にエンジンを絞るのが早過ぎると、空港のはるか手前で高度が下がってしまい、低空・低速での飛行を強いられることになります。旅客機は高空を高速で飛ぶことに特化した設計になっているため、低空を低速で飛ぶのは燃費を悪くします。前述のフラップを無駄に出し続けることにもなるかもしれません。逆にエンジンを絞るのが遅すぎると、空港に近づいているのに高度が高過ぎ、ということになってしまいます。

で、そんな時どうするかといいますと、お待たせしました。スピードブレーキを使います。スピードブレーキは、主翼の上に立てる板のことです。着陸すると一斉に立ち上がるので見たことがあるかもしれません。空港が近づいているのに、まだまだ高度、速度が大きすぎると、飛行中にこのスピードブレーキを使います。これはものすごく効きます。ただしこの方法は、せっかく燃料を消費して獲得した運動/位置エネルギーを一気に奪い去ってしまいます。ですから燃料が無駄になります。それで、適切な地点で降下を開始し、スピードブレーキを使わない飛び方は燃費を良くする訳です。

 飛行中にスピードブレーキ使用中。

 

飛ばさない

最後になりますが、これが究極の燃料節約法でしょう。これは既に米国で実施されています。米国の航空会社は、ただでさえ経営体力を奪われ、ギリギリの所でやっているか、大手でも会社の存亡の危機に瀕しているところもあるので、採算の悪い路線はビシバシと運行停止になっているようです。

 

さて、いろいろ燃料の節約方法を書きました。ある現役パイロットさんのサイトに書かれていたのですが、着陸がスムーズであることの他に、燃料をあまり使わない飛び方のできる人は、パイロット同士の間でも、「○○機長さすがだなぁ」という評価を受けるのだそうです。が、パイロットはそれでもあえて燃費の悪い飛び方をすることがあります。1機だけで飛んでいるわけではないというのがその理由です。上述の「位置エネルギーを使ってスーッと降りる」なんていうのはあくまで理想論です。暗くなった羽田のデッキで眺めていると、飛行機のライトが点々と一列になって滑走路への行列を作っているのを見ることができます。管制官とのやり取りを聞いていると、「速度を○○ノットに落とせ」、「高度を○○フィートに下げて維持せよ」、「右旋回し、方位を○○度にせよ」とひっきりなしに細かく指示を出しています。そうやって各地からやって来る飛行機を適正な間隔に保ちつつ、滑走路に通じる一本のレールに乗せていくわけです。離陸機と着陸機が、また近隣の他の空港からの機との進路が交錯しないよう、「この空域では着陸機は絶対にこの高度!」と決まっていることも多いです。スゲー長々と書いてしまっているので割愛しますが、気象条件その他、理想的な飛び方を妨げる要因はいろいろあります。それで、そうした要因、約束事、安全、快適性などを守りつつ、与えられた状況下で最善の燃費の良い飛び方を模索するわけです。ですから、飛行中にスピードブレーキを使ったからといって、即「この機長は地球の敵だ!」ということにはなりません。「間隔維持のため、ただちに速度を○○ノットに減速せよ」とか指示されることもありますから。 


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コメント 13

まさ

おもしろいネタですね^^
以前から、高度1万mでは地上に比べて酸素濃度も低いハズだから燃焼効率もよくないハズじゃないんかな・・・?って気になってるんですが・・・
その辺は、エンジンが高性能だからなんでしょうか?
by まさ (2005-11-07 20:37) 

とり

まささん いらっしゃいませ~ヽ(*´ヮ`)ノ
仰るとおり酸素濃度が低くなると、燃焼効率は下がります。
でもそれ以上に、飛行中はジェットエンジンの前面の大口からどんどん酸素が入っていきますから、全体として推力は増加します(ラム効果)。
ラム効果についてはこちらに詳しく出てますよ。
http://www.jal.co.jp/jiten/dict/p217.html#01-04-02
by とり (2005-11-07 22:03) 

ばう

ふむふむ β(□-□ ) フムフム  ばうさんの足(XJR1200)
にも応用できるネタがいっぱいだにゃぁ♪
寒風に備えてカウルの整備に余念の無い「ばう」でした。
カウル付けてから燃費が少し悪くなったような・・・・?
(>0<)★\(-_=)アノナ!「飛ばしすぎなんだよ!」!
by ばう (2005-11-08 12:24) 

とり

おや、ばうさんいらっしゃい!
カウルの本来の役割は空気抵抗の軽減。でも、その効果は80km/hからしか現れないんだそうですね。それまでは重量増がデメリット。寒さがしのげるからいいか。でもだめですよー、飛ばしちゃ!
今の車は走行中にアクセルペダルから足を離すと、燃料の供給がカットされますけど、バイクはスロットルオフで同じようになるのでしょうか??
by とり (2005-11-08 17:03) 

まさ

結構専門的な内容みたいですが、興味をそそられそうな読み物ですね。
ありがとうございました^^
ボクの脳ミソレベルを超えてるんで、時間をかけながら少しずつ読んでいこうと思います。
感謝の意を込めて押させてください。
ではでは。
by まさ (2005-11-09 22:01) 

とり

まささん
コメント&nice! ありがとうございました。
確かに難しい記事ですけど、でも大丈夫です!
オイラもよく分かりませんから。(ドーン!)
by とり (2005-11-10 18:04) 

catenamas

これは、面白い!
下手な本より、楽しめました。

ところで、アメリカ大陸から帰ってくると、カムチャッカ沖からものすごい強い向かい風(数百キロ)が吹いてきますが、あれは燃費に大きくマイナスですよね。でも、どうしようもないんでしょうね。
by catenamas (2005-11-12 01:32) 

とり

catenamasさん
コメント&nice! ありがとうございました。
そう言ってもらえるとすごく嬉しいです( ´∀`)

向かい風のことですが、こればっかりはどうしようもないですね。
それでも直前にそのルートを飛んだパイロット同士で情報交換を行うなどして、できるだけ向かい風の弱そうな高度をリクエストしているはずです。郷里に戻る身としてはもどかしく感じるでしょうが、アメリカに向かう時はその分早く着きますから。機内モニターのスピード表示、強い追い風に乗っているときは時速1,000キロを超えますよね。
by とり (2005-11-12 07:26) 

とり

■マイルさん
■infotopさん
yahooニュースからでしょうか。
nice! ありがとうございます。
by とり (2008-08-22 16:57) 

Super_dolphin

飛行機だと「急加速しない」とか言ってられませんもんね^^;
羽田空港みたいに滑走路までタキシング距離が長いから「そこが機長の見せ所」かもしれないですね。
by Super_dolphin (2008-08-23 01:45) 

とり

Super_dolphinさん いらっしゃいませ~ヽ(*´ヮ`)ノ
>「急加速しない」
確かにそうですね^^;
by とり (2008-08-23 07:54) 

hiro78

なるほど!!  参考になります!
恐るべしですね(笑
by hiro78 (2008-08-26 11:52) 

とり

hiro78さん
ウルトラマン、ウルトラ警備隊の飛行の際に少しでもご参考になれば・・・^^
by とり (2008-08-27 06:35) 

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